記事要約
ChatGPT EnterpriseとMicrosoft 365 Copilotはどちらも法人向け生成AIですが選定の軸は異なります。ChatGPT Enterpriseは、Web調査や複数ファイルの分析や資料作成、コーディングなどを一つの対話から横断しやすいサービスです。Microsoft 365 CopilotはWordやExcelやOutlook、Teamsの画面とMicrosoft Graph上の業務データを使う作業に強みがあります。本記事では機能の多さではなく「作業を始める画面」「参照するデータ」「成果物の保存先」「管理方法」の4軸で違いを比較します。
料金やセキュリティも同じ条件で整理し、試験利用で確認すべき指標まで具体化します。
※料金・機能は2026年9月17日時点の公式情報を基にしています。契約前に各社の最新条件をご確認ください。
ChatGPTとCopilotとは?
ChatGPTとCopilotは、同じ生成AIでも、得意とする使い方や連携できるサービスが異なります。ChatGPTは対話画面を起点に調査から成果物作成まで進めます。Microsoft CopilotはMicrosoft 365のアプリと業務データを結び付けて操作しやすいです。
- ・ChatGPTとは?
ChatGPTとは、OpenAIが提供する生成AIサービスです。Web調査やPDFや表計算の分析、画像理解、資料作成、コーディング、音声の記録などの機能があります。タスクの依頼から成果物までを一つの対話で進められるため、複数のアプリにまたがる企画や分析と相性がよいサービスです。法人向けの詳しい機能はChatGPT Enterpriseのサービス詳細でも確認できます。
- ・Microsoft Copilotとは?
Microsoft Copilotとは、Microsoftが提供するAIサービス群の総称です。本記事では有料の法人向けプランであるMicrosoft 365 Copilotを扱います。Wordの原稿作成やExcelの分析、Outlookのメール要約、Teams会議の整理を各アプリ内で支援します。Microsoft Graphを通じて権限内のメールや文書を参照できる点が特徴です。詳細はMicrosoft 365 Copilotのサービス詳細をご覧ください。
- ・ChatGPT・Copilotの法人向けプラン
ChatGPTにはBusinessと大規模展開向けEnterpriseがあります。本記事では、SCIMや役割別権限、保持期間、データ保存地域に対応するChatGPT Enterpriseを比較します。MicrosoftはMicrosoft 365 Copilot Businessというプランが法人向けであり、無料のCopilot Chatとはアプリ内機能や業務データの範囲が異なるため注意しましょう。
ChatGPT EnterpriseとMicrosoft 365 Copilotの違いを比較
ChatGPT EnterpriseとMicrosoft 365 Copilotの違いはAIの性能だけではありません。ChatGPT Enterpriseは、対話画面に資料や接続先の情報を集めて仕事を進められます。Microsoft 365 Copilotは、WordやOutlookなど現在の作業画面上でそのまま利用可能です。比較では①作業画面、②参照データ、③保存先、④管理方法の4点を見ると判断しやすくなります。
| 比較軸 | ChatGPT Enterprise | Microsoft 365 Copilot |
|---|---|---|
| 作業画面 | ChatGPTの対話・作業画面 | Word、Excel、Outlook、Teamsなど |
| 参照データ | アップロードした資料、Web情報、接続を許可したアプリの情報 | Microsoft Graphを通じて参照するメール、会議、文書など |
| 成果物の保存先 | ChatGPT上で作成し、必要に応じてファイルとして出力 | Word、Excel、PowerPointなどMicrosoft 365内で作成・保存 |
| 管理方法 | ChatGPTの管理画面でユーザー、権限、データ保持などを管理 | Microsoft Entra IDやMicrosoft Purviewなどを通じて管理 |
情報源や成果物が複数のサービスにまたがる企業はChatGPT Enterprise、業務とデータがMicrosoft 365に集約されている企業はMicrosoft 365 Copilotを検討しやすいといえます。
- ・機能・できることの違い
機能の幅を重視するならChatGPT Enterprise、日常業務との一体性を重視するならMicrosoft 365 Copilotが有力です。ChatGPTは調査や分析、画像生成、コーディング、複数工程の実行を一つの環境で扱えます。Copilotの強みはメールや会議、文書、予定表の文脈をMicrosoft 365内で使えることです。
比較する際は、AIで作成した内容を別のツールへ転記したり、ファイルを移動したりする手間をどれだけ減らせるか確認しましょう。
- ・Word・Excel・Outlook・Teamsとの連携の違い
Microsoft 365のファイルを編集する仕事ではCopilotが優位です。Excelの表を分析をしたりOutlookのメール内容から返信案を作ったり、Teams会議から担当者と期限を抽出する作業を各アプリ内で続けられるためです。ChatGPTもMicrosoft 365への接続やOffice拡張機能を利用できますが、範囲と管理設定は契約により異なります。Officeファイルの編集頻度が高いほど、画面切り替えと転記回数の差が効果に直結します。
- ・社内データ活用の違い
社内データがMicrosoft 365に集約されているならCopilot、複数サービスに分散しているならChatGPTも有力です。CopilotはMicrosoft Graphを通じて、閲覧権限のあるメールや会議、SharePoint文書を根拠に使います。ChatGPTは管理者が許可したアプリへ利用者が認証し、接続先の権限を保って参照します。導入前には対象フォルダや更新反映、引用元の表示、退職者の権限停止を実データで確認します。
- ・セキュリティ・データ管理の違い
両社とも法人向けデータを基盤モデルの学習に使わないと説明していますが、管理方法が違います。ChatGPT EnterpriseはSAML SSOやSCIM、役割別権限、監査、独自の保持期間に対応しています。保存データはAES-256、通信データはTLS 1.2以上で暗号化されている点も特徴です。Microsoft CopilotはMicrosoft 365の閲覧権限を引き継ぎ、プロンプトと回答をPurviewで検索・保持できます。既存のSharePoint権限を使うならCopilot、複数SaaSを横断するならChatGPT側の接続許可と監査範囲を重点的に確認しましょう。
- ・カスタマイズ・業務自動化の違い
部門専用の支援環境を作るならChatGPTのワークスペースエージェントやGPTs、Microsoft環境の処理を自動化するならCopilot Studioが候補です。ChatGPTでは、業務手順や参照資料を設定したGPTsやエージェントを作成し部門内で利用できます。担当者ごとに指示や資料を設定し直さなくても、同じ手順と参照情報を使って業務を進められます。
Copilot StudioではMicrosoft 365や外部データを使うエージェントを設計可能です。
- ・料金・契約方法の違い
Microsoft 365 Copilot Businessは料金が公開されていますが、ChatGPT Enterpriseは個別見積もりです。そのため、表示価格だけでは両者の費用を比較できません。ChatGPT Enterpriseは、利用人数、利用上限、入力内容や会話履歴の保存期間、サポート範囲をそろえて見積もりを依頼します。Microsoft 365 Copilot Businessは、支払方法によって料金が異なり、対象となるMicrosoft 365の契約も別途必要です。両者を比較する際は、既存契約を含めた1年間の総額を算出しましょう。
以下はOpenAI公式料金とMicrosoft公式料金に基づく2026年9月17日時点の表示です。
| サービス | 公開料金 | 契約時に確認する費用 |
|---|---|---|
| ChatGPT Enterprise | 個別見積もり | 利用人数、クレジット/利用枠、保持・保存地域、優先サポート |
| Microsoft 365 Copilot Business | 年払い:月額3,148円相当/人 月払い:月額3,778円/人 いずれも税別 | 対象Microsoft 365ライセンス、Copilot Studio等の追加利用、導入設定、販売店支援 |
※Microsoft 365 Copilot Businessの年払い通常価格は月額3,148円相当です。2026年12月31日までは、対象となる既存のMicrosoft 365利用企業向けに月額2,698円相当のキャンペーンが案内されています。適用条件と更新後の料金をご確認ください。
ChatGPTとCopilotでできることを業務別に比較
業務別に比較する際は、それぞれのサービスが「どの情報を参照できるか」「どのような成果物を作れるか」「普段使用している業務ツールと連携できるか」を確認することが重要です。ChatGPT Enterpriseはアップロードした資料や接続したアプリの情報を使い、文章作成や分析など幅広い業務に対応できます。Microsoft 365 Copilotはメールや会議、文書などMicrosoft 365上の情報を参照し、WordやExcel、Outlook、Teamsの画面上で作業を支援します。
以下では文書作成やデータ分析、会議の要約などの業務ごとに両者の違いを比較します。
- ・文書・メールを作成する場合
調査から長文資料を組み立てるならChatGPT、既存のWord文書やOutlookメールを更新するならCopilotが向いています。ChatGPTは複数資料を比較し構成案から本文まで対話しながら作れます。Copilotは開いている文書やメールの文脈を使い、要約や返信案を作るため転記を減らせます。比較する際は、同じ文書やメールを両サービスで作成し、完成までにかかった時間と人による修正回数を確認しましょう。
- ・Excelなどのデータを分析する場合
Excel上で集計表やグラフを作成するならMicrosoft 365 Copilot、複数形式のデータをまとめて分析レポートまで作成するならChatGPT Enterpriseが適しています。Microsoft 365 Copilotは、Excelの表を参照しながら数式やグラフを作成できます。元データと作成された内容を同じファイル上で確認できるため、計算式の参照範囲や集計結果を確認しやすい点が特徴です。ChatGPT Enterpriseは、CSVやPDF、画像など形式の異なる資料を読み込み、データの傾向や要因を文章で整理できます。比較する際は同じデータを使用し集計結果の正確さやグラフの分かりやすさ、分析内容の具体性、報告書の完成までにかかる時間を確認しましょう。
- ・会議の要約・議事録を作成する場合
Teams会議が中心の企業にはMicrosoft 365 Copilotが向いています。会議の文字起こしや参加者の発言、チャットの内容などを基に要点を整理できるためです。会議で決まった内容から、OutlookのメールやMicrosoft 365上のタスクを作成する業務にもつなげられます。
ChatGPT Enterpriseを利用する場合は、録音データや文字起こしをどのように取り込み、作成した議事録をどこに保存するか決めておく必要があります。導入前の試験利用では、会議で決まった決定事項や担当者、対応期限を正しく整理できるかを確認しましょう。あわせて、人による修正の回数と議事録の完成までにかかった時間を比較します。
- ・情報収集・調査を行う場合
Web上の情報を幅広く調べて報告書まで作成するならChatGPT Enterprise、Web上の情報とMicrosoft 365内の社内資料を組み合わせて調査するならMicrosoft 365 Copilotが有力です。
ChatGPT Enterpriseは、複数のWebサイトから情報を集め、参照元を示しながら要点を整理できます。Microsoft 365 Copilotは、メールや社内文書に保存された案件の経緯を踏まえ市場の変化や競合企業の発表、法改正、業界ニュースなどを確認できます。
どちらを利用する場合も、AIが示した参照元を人が確認する必要があります。
情報の公開日だけでなく、調査対象となった企業や地域や集計期間、数値の定義を確認しましょう。重要な情報は企業や行政機関などの一次情報と照合し、内容が正確か判断することが重要です。
- ・社内情報を検索・活用する場合
社内文書をSharePointやTeamsに保存している企業には、Microsoft 365 Copilotが適しています。特に、社員が担当業務に必要な文書だけを閲覧でき、機密文書は関係者以外が開けないように設定されている企業と相性がよいサービスです。Microsoft 365 Copilotは、利用者に閲覧権限があるメールや文書を基に回答を作成します。
一方で、社内情報をGoogle WorkspaceやSlack、GitHub、社内データベースなどに分散して保存している場合は、各サービスとChatGPT Enterpriseを接続できるか確認が必要です。接続できる場合でも、どの情報を誰が参照できるのかを事前に設定しなければなりません。
ChatGPT EnterpriseとMicrosoft 365 Copilotのどちらも自社の環境に合わない場合は、法人向け生成AIサービスも比較対象になります。例えば、複数の生成AIモデルを業務によって使い分けたい企業や、日本語で導入・運用支援を受けたい企業は、JAPAN AIを含めて検討するとよいでしょう。
試験利用では、質問に対して正しい回答が得られるかだけでなく、回答に参照元の文書へのリンクが表示されるかを確認します。あわせて、利用者に閲覧権限がない文書が回答に使われないか、文書を更新した後に最新の内容が回答へ反映されるかも確認しましょう。

法人利用ならChatGPTとCopilotのどちらがおすすめ?
法人利用では、普段使用している業務ツールと社内データの保存場所を基に選ぶことが重要です。Microsoft 365以外のツールも使用し、調査や文章作成、データ分析など幅広い業務に生成AIを活用したい企業にはChatGPT Enterpriseが向いています。一方で、WordやExcel、Outlook、Teamsを日常的に使用し、Microsoft 365上の文書やメール、会議情報を活用したい企業にはMicrosoft 365 Copilotが適しています。
すべての社員に同じサービスを導入する必要はありません。企画や調査を担当する部門にはChatGPT Enterprise、Microsoft 365を中心に業務を行う部門にはMicrosoft 365 Copilotを導入する方法もあります。以下では、それぞれに向いている企業の特徴と併用する場合の考え方を解説します。
- ・ChatGPT Enterpriseがおすすめの企業
ChatGPT Enterpriseは、調査や分析、資料作成、開発など幅広い業務に生成AIを活用したい企業におすすめです。複数の資料やデータを一つの作業画面に読み込ませ、情報収集から成果物の作成まで進められるためです。
例えばマーケティング部門では市場調査の結果や顧客アンケートを読み込ませ、競合分析から提案資料の作成まで進められます。開発部門では、仕様書を参照しながらコードの作成や修正案の検討に利用できます。また、社内手順や参照資料を設定したGPTsやエージェントを用意すれば、部門のメンバーが同じ条件で業務に活用できます。
そのため、複数の部門で異なる業務に生成AIを活用したい企業や、業務データがMicrosoft 365以外のサービスにも保存されている企業にはChatGPT Enterpriseが適しています。導入時は、接続を許可するアプリと作成したファイルの保存場所を管理者が決めておきましょう。
- ・Microsoft 365 Copilotがおすすめの企業
Microsoft 365 Copilotは、WordやExcel、Outlook、Teams、SharePointを日常業務で利用している企業におすすめです。利用者が閲覧できるメール、会議、文書などの情報を参照し、Microsoft 365の各アプリ上で業務を支援できるためです。
たとえばOutlookでは過去のメール内容を基に返信案を作成できます。Teamsでは会議内容を要約し、決定事項や対応が必要な業務を整理できます。Wordでは既存文書の内容を基に、文章の追加や書き換えが可能です。このような業務を繰り返し行っている企業であれば、メール作成時間や議事録の作成時間、文書の修正時間を導入前後で比較できるため効果を具体的に確認できます。
そのため、Microsoft 365に社内情報が集約され、メール対応や会議、文書作成が多い企業にはMicrosoft 365 Copilotが適しています。ただし、利用者が本来見る必要のない文書まで閲覧できる状態ではCopilotがその情報を回答に使用する可能性があります。
導入前にSharePointやTeamsの共有範囲を確認し、閲覧できる社員を適切に設定しましょう。
- ・ChatGPTとCopilotを併用する方法も
ChatGPTとCopilotを、業務で併用する運用もおすすめです。
Microsoft 365 CopilotはMicrosoft 365内のメールや会議、文書を活用する業務に向いています。一方で、ChatGPT Enterpriseは外部情報の調査や複数資料の分析や提案書の作成などに活用できます。
例えばMicrosoft 365 CopilotでTeams会議の内容を要約し、決定事項をWordの案件メモに整理します。その案件メモと市場調査資料をChatGPT Enterpriseに読み込ませれば、提案書の構成案や本文の作成に利用できます。
ただし、すべての社員に両方のライセンスを付与すると利用料金だけでなく社内からの問い合わせも増えます。企画や調査を担当する社員には両方を付与し、Microsoft 365上の定型業務が中心の社員にはMicrosoft 365 Copilotのみを付与するなど担当業務に応じて使い分けましょう。また、AIで作成した議事録や分析結果、提案書などの保存場所と機密情報を入力する際のルールを社内で定める必要があります。
自社に合うChatGPT・Copilotの選び方
選定する際は、機能の多さや月額料金だけで判断してはいけません。自社で改善したい業務や業務に必要な情報の保存場所、安全に利用するための管理機能、導入後にかかる総額を確認する必要があります。サービスによって得意な業務や参照できる情報が異なるためです。
候補を絞った後は、同じ資料と完成条件を使って両サービスを試します。実際の業務で試すことで回答の正確さや操作のしやすさ、削減できる作業時間を比較できます。こうした結果を記録しておけば、サービスを選んだ理由や導入費用に見合う効果を社内へ説明しやすくなります。以下では、選定時に確認すべき5つのポイントを解説します。
- ・利用したい業務と必要な機能を整理する
最初に、生成AIを利用する業務とその業務のどの作業を改善したいのかを明確にします。同じ業務でも、時間がかかっている作業によって必要な機能が異なるためです。社内情報を探す作業が課題なら検索機能、文章作成が課題なら文書作成機能、Wordへの入力が課題ならMicrosoft 365との連携機能が必要になります。
必要な機能を判断するために、対象業務を「情報の収集」「AIによる作成・分析」「人による確認」「保存・共有」に分けます。例えば営業提案書では、商談記録と過去資料の収集や顧客課題の整理、構成案と本文の作成、数値の確認、Wordへの保存・共有という流れになります。
各作業にかかっている時間を確認し、最も負担が大きい作業を改善できる機能を必須条件にしましょう。画像生成や翻訳など対象業務で使用する機会が少ない機能は分けて評価します。必要な機能を先に決めることで、機能が豊富でも自社の課題を解決できないサービスを選ぶ失敗を防げます。
- ・社内データの保管場所と既存ツールとの相性を確認する
対象業務で使用する資料とAIが作成した文書の保存場所を確認する必要があります。生成AIが必要な情報を直接参照できなければ利用者が毎回ファイルを探して読み込ませることになり、作業時間を十分に減らせないためです。また、古いファイルを読み込ませると現在の情報と異なる回答が作られる可能性があります。
社内文書やメールをSharePointやOneDrive、Outlook、Teamsに保存している企業はMicrosoft 365 Copilotを活用しやすい環境です。Microsoft 365内の情報を参照しWordやOutlookなどの画面上で作業を進められるためです。
一方で、Google DriveやSlack、GitHub、Salesforce、社内データベースなどにも情報を保存している場合はChatGPT Enterpriseや他の法人向け生成AIと接続できるか確認します。接続できなければ必要な情報を手作業で探して読み込ませなければなりません。
接続後は利用者に閲覧権限がないフォルダの情報が回答に使われないことを確認します。削除した文書が検索結果に残っていないか、更新した内容が回答に反映されるかも重要です。さらに、回答から参照元の文書を開けることを確認すれば利用者が回答の根拠を確認しやすくなります。
- ・必要なセキュリティ・管理機能を整理する
セキュリティは「学習に使われないか」という観点の比較だけでは足りません。
利用者とデータを適切に管理できるかを確認する必要があります。管理が不十分だと、退職者のアカウントが残ったり、権限のない社員が機密情報を参照したりする可能性があるためです。
主な確認項目は以下のとおりです。
- 会社のアカウントで安全にログインできるか
- 入社・異動・退職に合わせて利用権限を変更できるか
- AIが接続できる社内システムを管理者が制限できるか
- 誰がいつ何を操作したか確認できるか
- 会話やファイルが暗号化され、保存期間を設定できるか
必要な機能はプランによって異なるため、公式資料や契約書で確認しましょう。
比較項目を整理する際は法人向けAIのセキュリティ比較の記事も参考になります。
- ・利用人数と活用頻度から総額を比較する
費用は全社員数ではなく、対象業務を担当し、継続的にサービスを利用する予定の人数から算出します。
料金は月額料金だけでなく、導入と運用に必要な費用を含めて比較します。対象者が少ない場合でも、初期設定などに費用がかかるためです。
年間総額は、次の式で計算します。
年間総額=1人あたりの月額料金×利用人数×12か月+初期設定費+外部サービスとの接続費
すでにMicrosoft 365を契約している場合は、追加で発生する費用だけを計上します。運用費は「担当者の月間作業時間×1時間あたりの人件費×12か月」で算出します。
次に、年間で削減できる時間を計算します。
年間削減時間=1回あたりの削減時間×月間の作業回数×利用人数×12か月
最後に「年間総額÷年間削減時間」を計算すると、業務を1時間削減するためにかかる費用が分かります。この金額を社員1時間あたりの人件費と比較し、導入費用に見合うか判断しましょう。
- ・同じ業務でトライアル利用し、精度と操作性を比較する
最終判断はChatGPT EnterpriseとMicrosoft 365 Copilotに同じ資料と指示を与え、同じ成果物を作成させた結果で行います。公式サイトの説明だけでは自社の資料を正しく扱えるかや社員が迷わず操作できるかが判断できないためです。
トライアル期間は対象業務を複数回試せる長さに設定します。週1回行う業務であれば4~8週間を確保すると複数回の結果を比較できます。初回だけでは操作に慣れていないことによる遅れや偶然よい回答が得られた可能性を除けません。
例えば提案書作成では、完成までの時間や事実、数値の誤り、人による修正回数、利用者が操作に迷った箇所を記録します。導入前の実績と比較し、作業時間と完成物の品質が事前に決めた基準を満たしたサービスを選びましょう。
ChatGPT・Copilotを法人導入する際の注意点
法人導入では、契約主体、情報分類、責任分担を決めます。曖昧なままでは個人アカウントや過剰な共有権限が残り、安全に運用できません。
- ・無料版・個人向けプランとの違いを理解する
試験利用は、実際に導入を検討している法人向けプランで行う必要があります。無料版や個人向けプランでは会社によるアカウント管理や社内データとの接続、利用記録の確認などを十分に試せないためです。個人向けプランで回答の精度だけを確認しても法人導入時に管理機能やデータ連携を改めて検証することになります。
ここでいう法人向け環境とは会社がサービスを契約し管理者が社員のアカウントや利用権限を管理できる状態を指します。
| 比較項目 | 無料版・個人向けプラン | 法人向けプラン |
|---|---|---|
| 契約・請求 | 個人が契約して支払う | 会社が契約し、請求をまとめて管理できる |
| アカウント管理 | 個人が自分のアカウントを管理する | 管理者が社員の追加・停止や権限変更を行える |
| 社内データとの接続 | 個人の判断でファイルやサービスを接続する | 管理者が接続できる社内システムを制限できる |
| 利用状況の確認 | 会社が利用状況を把握しにくい | 管理者が利用状況や操作記録を確認できる |
| 情報管理 | 個人ごとの設定に依存する | 会社のルールに合わせて保存期間や利用機能を設定できる |
具体的な機能はサービスや契約プランによって異なります。試験利用では、会社が契約したアカウントを使用し、実際の導入時と同じ権限やデータ接続の設定で確認しましょう。
- ・入力できる情報と利用ルールを決めておく
法人向けプランでも入力する情報や使い方に関する社内ルールが必要です。管理者がすべての作業を確認することができず個人情報の取り扱いや誤った回答の使用を防げないためです。
入力情報は「入力可」「上長や管理者の承認後に入力可」「入力禁止」に分類します。顧客の個人情報や未公開の財務情報、第三者への提供が制限されている資料は、自社規程や契約条件を確認したうえで「承認後に入力可」または「入力禁止」に分類します。パスワードやAPIキーなど、認証に使用する情報は入力禁止とします。
利用時は、次のような禁止事項も定めます。
- 個人用アカウントを業務に使用しない
- AIの回答を確認せずに顧客や社外へ送信しない
- AIの回答だけで契約や法務上の判断を確定しない
- 会社が許可していない外部ツールへ情報を転記しない
- アカウントやログイン情報を複数人で共有しない
入力できる情報と禁止する使い方を明文化することで、担当者ごとの判断のばらつきや情報漏えいを防ぎやすくなります。
- ・小規模な導入から効果を検証する
最初から全社へ導入せず、一つの部署に対象を絞って試験導入しましょう。対象を限定すると、生成AIによって改善した業務と、問題が発生した原因を特定しやすくなるためです。
トライアル導入にはメールの下書きや会議の要約など繰り返し発生し、導入前後の作業時間を比較できる業務が適しています。また、AIが作成した内容を担当者が確認できる業務を選ぶ必要があります。
トライアル中は、主に次の項目を記録します。
- 導入前後の作業時間
- AIが作成した内容の誤り
- 担当者が修正にかけた時間
- 対象者のうち実際に利用した人数
- 利用者が操作や回答で困った内容
作業時間の短縮と品質の維持を確認できた業務から対象を広げることで、利用されない契約や導入後の混乱を防げます。
よくある質問
- ・ChatGPTとCopilotは結局どちらが優れていますか?
一律の優劣はありません。外部調査や複数形式の成果物作成を横断するならChatGPT Enterprise、Microsoft 365内の文書・メール・会議・表計算を短縮するならMicrosoft 365 Copilotが有力です。同じ資料と指示を使い、回答の正確さや完成までの時間、人による修正回数を比較してください。
- ・ChatGPT EnterpriseとMicrosoft 365 Copilotはどちらが安いですか?
公開価格だけでは判断できません。ChatGPT Enterpriseは個別見積もりです。Copilotは公開価格がありますが、対象のMicrosoft 365ライセンスや追加機能が必要になる場合があります。既存契約、設定、支援、管理工数を含む1年間の総額で比較します。
- ・Microsoft 365を利用している場合はCopilotを選ぶべきですか?
必ずしもCopilotを選ぶ必要はありません。WordやExcel、Outlook、Teams内の情報を使う業務が中心なら、Microsoft 365 Copilotが適しています。一方、Webでの情報収集や開発、複数の外部ツールに保存された情報を扱う業務では、ChatGPT Enterpriseが適する場合があります。全社で一つに統一せず、業務や部署に応じて使い分ける方法もあります。
- ・ChatGPTとCopilotに機密情報を入力してもよいですか?
法人向けデータが基盤モデルの学習に使われないことと、入力を許可できることは別問題です。情報の機密区分、顧客との契約、保存地域・期間、接続先の権限を確認し、自社の「入力可・条件付き・禁止」のルールに従ってください。
- ・ChatGPTとCopilot以外のサービスも比較すべきですか?
ChatGPTとCopilotだけでは自社の要件を満たせない場合は他の法人向けサービスも検討すべきです。複数の生成AIモデルを使い分けたい企業や日本語での導入・運用支援を受けたい企業では、両サービス以外が適する場合があります。
例えばJAPAN AIは、社内情報の検索からAIエージェントによる業務支援までを一つのサービスで進めたい企業の候補です。複数のサービスを個別に導入する必要がなく、導入後の活用についても日本語で支援を受けられるためです。自社だけで利用方法の設計や社内定着を進めることが難しい場合は、比較対象に含めるとよいでしょう。
まとめ
ChatGPT EnterpriseとMicrosoft 365 Copilotの違いは、AIを使う画面、参照するデータ、成果物の保存先、管理方法にあります。外部調査や多様な資料作成を一つのAI環境で進めるならChatGPT Enterprise、Microsoft 365上のメール・会議・文書・表計算を現在の画面で効率化するならMicrosoft 365 Copilotが有力です。
選定時は同じ業務で試験し、完成までの時間、根拠の誤り、修正回数、完成までの時間や事実や数値の誤り、人による修正回数権限管理、年間総額を比較してください。候補を広げたい場合は、法人向け生成AI・AIエージェントの比較一覧で各サービスの違いを確認できます。複数LLM、社内検索、業務自動化、国内向けの伴走支援をまとめて相談したい場合は、JAPAN AIの公式サイトも選択肢です。
